全国に広がる「メディカルラリー」救急救命技術と判断力を競って磨く

災害や大事故発生時の救急救命活動において、救急医療に携わる者に求められるのが「迅速で的確な判断力」です。

現場や搬送先の病院では医療機器や薬品など、限られた医療資材を最大限に活用してできる限り多くの命を救う必要があります。多数の負傷者がつぎつぎと搬送され、現場が混乱することも考えられます。そのような状況下、一人でも多くの傷病者の治療を行うために必要なのが、状況を把握してトリアージを実施する的確な判断力です。的確な判断力は、日頃から災害研修や実働訓練で経験を積むことで身につけることができます。救急救命の技術や知識、判断力を競い合いながら磨くことができる、メディカルラリーという競技会に参加してみるのもよいでしょう。

メディカルラリーとは、医師・看護師・救急救命士が救急医療チームを組み、救急救命の分野でそれぞれの技量を競い合う競技会です。競技会では、決められた時間内にさまざまな模擬医療現場へ出動し、模擬傷病者に適切な治療をすることで得点を競い合います。このメディカルラリーは1990年代のチェコが発祥とされており、救急救命の現場で各国の手法を共有するために作られたといわれています。現在では、全国20ヵ所以上でこのメディカルラリーの競技会が開催されています。

メディカルラリーは救急救命の知識や技術を競い合うだけの競技ではありません。競技では災害や事故を想定したシナリオが設定され、流血などの特殊メイクを施した模擬傷病者を配置したリアルな現場を再現していることもあります。切迫感や緊張感を疑似体験して実践さながらの救急救命活動を行うことにより、技術力の確認だけではなく他職種との連携や情報共有の必要性とチームワークの重要性を学ぶことができます。

メディカルラリーの服装規定はとくにありませんが、競技上汚れる場合があります。洗濯がしやすく、丈夫で動きやすい服装で競技に参加するのが望ましいでしょう。たとえば、最近医療現場で使用されるようになったスクラブはTシャツのような薄い素材で動きやすく、洗濯機でゴシゴシ洗えるので手入れも楽です。一人ひとり違った色やデザインのスクラブを着るのもよいですが、チームでお揃いのスクラブを着れば一体感や団結力が高まるでしょう。チームの個性を出したいなら、オリジナル刺繍がおすすめです。最近では、アルファユニのようなスクラブにオリジナル刺繍をしてくれる会社もあります。取り扱っている色も豊富なので、チームのテーマカラーのスクラブを選んでもよいですね。

災害や大事故発生時時には予想外の出来事が起きることが考えられます。どんな状況下でも迅速に判断をして適切な治療ができるように、形式的ではない実践訓練を積むことが重要です。メディカルラリーや実働訓練での経験はかならず役立つことでしょう。